東京の大河川・荒川の源流を辿る

東京の秋は気づいたら終わっている

都心に住んでいると、という季節を感じなくなります。

木々の紅葉は公園に行かないと見られないし、赤とんぼも飛んでいなければ
稲の刈り取りもありません。そして、気づいたら冬になっている。さみしいですよね。
そんな物思いにふけりながら、荒川の河川敷でぐだぐだする土曜日の午後

今年こそは、秋を満喫したい!
そうだ、荒川の源流へ行ってみよう!!


始発の西武鉄道

というわけで翌日。

朝4時50分、西武鉄道 練馬駅に到着。
昨日調べてみたところ、荒川の源流は埼玉県・奥秩父
荒川起点まで林道で行けるみたいなので、自転車を持って輪行することにしました。
また、源流までは結構遠いみたいなので、始発電車で。
かつてないレベルで早起きしました・・・!!

丑三つ時、真っ暗闇の都会を自転車で走るのは
めっちゃこわかったぞ!!

でもそのおかげで、始発電車は"がら空き"で輪行がラックラク!!
なんと、他にも輪行の方がいらっしゃいしました。
無理して早起きしたのが私だけじゃなかったんだと思うと、ちょっと嬉しい。

7時30分、西武秩父駅に到着。終点なので寝ちゃってても安心。
ここからバスに乗り換えて奥秩父方面へ向かいます。 さわやかな秋の空!

かなり待ちましたが、バスが来ました。
通勤電車のような混雑にびっくり。早めに並んでおいてよかった。

紅葉狩りをする登山の人たちだね!


そして、バスに揺られること約1時間。
ずいぶんと山奥までやってきました。

9時20分、川又バス停に到着です。
ここからは自転車の出番です。

ちなみに、バスは2台体制でしたので、全員座れました。
1時間立ちっぱなしはかなりきついですからね!! バス会社さんの迅速な対応に感謝!!
あと自転車載せてくれてありがとうございました。

帰りはバスは使わず、自転車で駅まで戻るけどな!

源流めざして林道へ

さて、まずは荒川を見つけるところからはじめます。

ふと上を見上げたら、
目の前に今にも壊れそうなボロボロの家があってびびった!!


国道140号線を北上。
ちなみにこの道をず〜〜っとまっすぐ行くと、
「雁坂(かりさか)トンネル」という有料トンネルを通って山梨県山梨市へ抜けられます。
埼玉県から山梨県へ行けるって、なんかすごくないですか!?
残念ながら、自動車専用道路なので自転車は通れません。


私たちはここで、入川渓谷方面の林道へと曲がります。
どんどん山奥へ!!

自転車じゃ絶対来なそうな所を走れるのは
輪行の面白いところだね〜。


わーお!!!

紅葉だーー!! 下に流れているのは荒川!?
おいらの知ってる荒川と違う!!

これが荒川だよ!
岩肌がゴツゴツしていて、源流感あるね!!
このまま走って行くと荒川の起点があるはずなので、
そこまで行くのが本日のミッションです。


大きな岩の中に収まっている大岩不動尊
今日の旅の無事を祈りますよ。

かつての繁栄を感じさせる建物たち

山の中の谷あいの道ですが、
道ばたには住居のような建物や、建物のあった跡があちこちにあります。
というのも、このあたりは昔、林業で大変栄えたようで、
この先にあるキャンプ場も木材加工の工場の跡地らしいです。

土地に歴史有りだね!

ちなみに、この近くには秩父鉱山という鉱山もあり、
かつてはそこでもたくさんの人が暮らしていました。(最盛期には2000人以上!!)
日本にはもともと、山の中に人の暮らしがたくさんあったんですね〜。


こんな所に火の見やぐらがあるのも
そんな昔の名残でしょうか!
火の見やぐらって、普通は集落とかにありますよね。


やべえ・・・
本当にめっちゃ古そう・・・・

これは、歌人 前田夕暮(まえだゆうぐれ) の碑
「山を開き土を平坦(なら)して建てし工場(いへ) その隅にしろし栃の太幹」
ということで、前田さんはこのすぐ近くの崖上にあった家に住んで、戦後まで林業を営んでいたそうです。
すぐ近くの崖上にあった家」とのことですが、残念ながら今となっては影も形も・・・


って、あった・・・・!!
ばっちり残ってるじゃん!!!! こ、これでしょ〜???

ぼろぼろの廃墟になってる!
こんな放置プレーでいいのか!!??


歌人 前田夕暮の旧居(?)

自転車で・・・
西武バス・川又バス停から約20分
※時間は目安で、所要時間には個人差があります。

輪行おすすめ度 ★☆☆☆☆
入川渓谷で自転車で来て楽しいのはこのあたりまでです。

住所・営業日・駐輪場情報など
埼玉県秩父市大滝5714


マウンテンバイク感

前田夕暮の碑を過ぎると、いよいよ登山感が増してきます。
紅葉きれいですね〜! 高級なふりかけみたいに鮮やかです。

・・・

このあたりは今でも森の管理がなされているので、
道がしっかりしており、私の折りたたみ自転車でも十分走りやすいです。

スムーズで軽快な舗装路をかっ飛ばすのも良いですが、
こういう、小石のごろごろしている未舗装の山道を、
振動を感じながらゆっくり進むのも、アドベンチャー感があって楽しい。

マウンテンバイクの良さみに気づきつつあるかも。

置く場所ないのに、欲しい自転車ばっかり増えるよね・・・

 

ちなみに林道に入ってから、まだ誰とも会ってない。 
マイナーな場所の散策は、そのマニアックさとあいまって
常に孤独との戦いなのだ。

せめてもの安全装備ということで、今回から熊よけ鈴(カウベル)を付けてます。
三陸輪行の恐怖の山体験から学んだ対策。
無いよりはだいぶ安心感ありますし、音もかわいい。おすすめですよー。


と、ここで現れた謎のゴム板。
ここを越えるとき、嫌な予感はしましたが・・・


うわあああああああ!!

わき水?で道路の土が流出しないようにするためのゴム板だったんだね。

もー、ここまで来たら気にせず進むっきゃない!!
ブロンプトンよ、今日の君は、マウンテンバイクだ!!

自転車お荷物ゾーン

しばらく進むと、分かれ道に。
私たちは川に沿って進むため、左側の(行けなさそうなほうの・・・)道へ。

ゲートがありますが、通行止めとは書かれていませんので
隙間からむりやり進む。


いよいよ、自転車に乗るのが危ない感じの道になってきました・・・。

すべったらそこで試合終了だぞ! 

道路上の凹凸も大きくなり、自転車は完全にお荷物と化しました。
が、そこらへんに置いて行く訳にも行かないので、押してむりやり連れて行きます。
そんなことよりも、林道上に「とあるもの」が見えてきているのですが、分かりますか?

ん・・・!?

線路です!! 線路!!
落ち葉でちょっと分かりづらくなっていますが、
かつて、ここには鉄道が走っていたらしいです。

こ、こんな山奥に!?
さっきの火の見やぐらといい、前田さんの家といい、鉄道といい、
もしかして、ここは失われたかつての文明都市か・・・!!

この線路の正体は「森林鉄道」
つまり木材搬出用の簡易的な鉄道の跡ということです。
明治時代〜1960年代まで、日本の林業が盛んだった時代には、
日本全国の多くの山で、丸太満載の小さな鉄道が走っていたらしいです。


ちなみにここ入川渓谷の森林鉄道は、1980年代になってからも、
発電所の建設用に転用されて延命したため、今でも奇跡的にその姿が残っているらしいですよ。

これまた、土地に歴史あり。
手つかずの自然だと思っていた山の中にも、
開拓の歴史があるんだねぇ。


山中に突然現れる線路!
入川渓谷森林鉄道

現役時代に乗ってみたかった・・・!!
奥秩父の栄華の痕跡

最後の鉄道運行から四半世紀が過ぎた今。
線路は途切れ途切れになってしまいましたが、
鉄道が走っていたかつての景色を思い浮かべるには
十分すぎる雰囲気が今でも残っています。

奥秩父の山中でただ一人。静かに物思いにふける
輪行女子 さえちゃんであった。

うっわー道びしょびしょ!!!!

岩が大きすぎて自転車が押せない!

こんな狭い道どうやって通れって言うの!!!!!

うわあああああ!

ついに到達!! 荒川の起点

という紆余曲折を経てようやく辿り着いたのが、こちらのちょっと広い場所。
赤沢谷出合(あかさわたにであい)です。
ここが、荒川の起点とされています。

ラストスパートがすごかったけど、
ようやく辿り着いたんだ!!

ここは「出合」という名前の通り、
入川という川と赤沢という川が合流する地点。
それぞれの川の水流が結構強いので、
周囲は「ザアーーーー」という轟音に包まれています。

水の音が谷に反響して、紅葉に包まれる感じ。
荒川の源流は、とても神秘的な場所でした。

夏に来ても気持ち良さそう〜〜!
今の季節は、ちょっと寒いけど。

アウトドアコンロで調理した極上のお昼ごはん

さて、ちょっと移動して、日の差す暖かい場所へ。
お昼ご飯を食べよーか!!

ヨッ、待ってました!

今回は、現地調理にチャレンジ。
アウトドア用品店で携帯用ガスコンロを買ったんです!!
これで、旅先で出来立てのあったかごはんが食べられます!!

でもその代わり、カバンの中がぎゅうぎゅうだけどな!

このコンロ、火をつけるのがけっこう難しいのですが、
都内の荒川河川敷で何度か練習していたので、今回は問題なし。
アウトドア感があって、いいですね〜!

滝を見ながら、料理の出来上がりを待つ。
ただのチキンラーメンだけどね。

出来ましたー!
ラーメンだけだとちょっとさみしいので、ベーコン入れてみました。

めっちゃおいしそう!!
寒い日に、外で食べる暖かいものは格別だね〜!

うん。
でも次は、もうちょっと料理らしい料理を作ろうと思います〜!

極寒の自転車下山

そんなわけで、日も陰ってきましたので、
寒くなる前に山を下りましょう。

結局ほとんど人に会わなかったけど、朝のバスに乗っていた人たちは
どこへ行ったんだろう〜??

帰りはあっというま。
見覚えのある国道140号線との分岐まで戻ってきました。
帰りはバスじゃなくて、このまま自転車で駅まで行きますよ。

ずっと下りだから、自転車でもらくち〜ん!

のはすが、寒すぎ・・・・!!
自転車で約一時間半も延々と坂を下り続けるのは、この時期
なかなかの修行でした。

午後三時過ぎに、秩父鉄道 三峰口駅に到着!!
あとはのんびり電車に揺られるだけ、ひと安心です。

今日は、紅葉もたくさん見れたし、荒川の源流も見れたし、
森林鉄道の跡なんて、珍しいものも見れたから大満足!!

だね!!
では最後に、ひとつだけ
皆様に私たちからのアドバイスをお伝えして、今日のお開きとしましょう。

荒川の源流に行くなら
自転車は持って行かないほうがいい!!!!

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