三陸鉄道とBRTと自転車でゆく!!
さんりく縦断輪行の旅  その8

外で使うのは恥ずかしい? 気仙沼復興タオル

ただ今13時2分。再び休憩なう。
それにしても、タオルが汗で湿って気持ち悪い・・・。
替えもあと一枚しかないし、困った。

あっ! 昨日、気仙沼でタオル買わなかったっけ!!

おー。そういえば!!

昨日気仙沼の商店街で復興祈願のタオルを買ってました。ラッキー!
早速出してみる。が・・・・。

こ れ は は ず か し い

さて、私たちが何もないと思っていた沿道の空き地も、
かつて暮らしがあったことが、所々に作られた石碑によって徐々に分かってきました。
こちらは小学校の跡。児童と教師あわせて8名の尊い命が失われたそうです。
悲惨な出来事が、ほんとうにあちこちで起こっており、石碑を見る度に胸が締め付けられます。
どうかお安らかに・・・・。

北上川沿いに到着しました。
本当に大きな川で対岸がよく見えないです。

東京では見られない雄大な景色だね。

大川小学校へ

さて、こちらの新北上大橋で対岸へと渡ります。
この橋、もともと7つのトラス橋が連なっていたのですが、
手前の2つが川を逆流してきた津波によって押し流され、現在は仮橋でつなげられています。
今の穏やかな北上川の景色からは想像出来ませんが、
海岸から離れて尚、津波はすさまじい威力だったことがわかります。

仮橋の部分にも、ちゃんと歩道が整備されていて安心。

ただ、仮橋と本来の橋のつなぎ目に大きな隙間があいてるトラップがあるので要注意!!

ぼんやりしてたら前輪がはまってでんぐり返しするところだった・・・。

それにしても今日の北上川、なかなかすごい色である。

たぶん、昨日の大雨のせいだねえ。
今日が晴れてくれてよかったよ、ほんと・・・。

橋を渡った対岸すぐのところにあるのが、旧大川小学校です。
ここでは、津波によって全校児童の7割強にあたる74人と教師10人の尊い命が奪われました。

被災したほかの学校と比べても被害が圧倒的に大きいのは、
震災発生後の学校側の対応に大きな過失があったためと言われています。

ここは、私が来たかった場所のひとつ。
地震から津波の到来まで、1時間弱も時間があったのに、
どうして多くの尊い命が奪われなければならなかったのか・・・。
今回、実際に訪れてみて、なんとなくその理由が分かった気がしました。


河口から5km。
実際来てみると、ここからは海なんか全然見えないし、川も充分な広さがあるし。
津波がくるなんて全然信じられない場所。
判断ミスの根っこには、内陸だからという油断があったのかもしれないねぇ。

校舎の壊れ具合はすさまじく、また生々しくもあり
思わず目を背けてしまうような状態でした・・・。
建物のつくりを見る限り、きっと震災前はとってもお洒落な学校だったのだろうと思います。

初日の釜石市本郷地区の石碑群でも思ったことだけど、
もしもの時のことを常日頃から考えておくことって、本当に大切だね。

峠越えの連続とついにきた夏バテ

さて、時刻は15時を回りました。時間も押しているので先を目指します。
女川方面へは、新北上大橋から続くこの道(国道398号線)を直進。

こってこての峠越えキター・・・・
あの山を、今から越えるんだよねぇ・・・。

うん。地図を見る限り、峠の最後はトンネルで越えるみたいだけど、
少なくとも、道路の法面(のりめん)が見える矢印のあたりまでは登る必要がありそう

うげえ・・・・
さえちゃん、がんばれそう??

まあ、ここまで来たらがんばるしかないもんね。
さっき自販機で飲み物も補給したし、
地道にゆっくり登っていけばなんとか・・・。

《峠あるある1》 一年中やってそうな片側交互通行。
道路に杭まで打ち込んで、とうぶん終わりそうにない。

《峠あるある2》 個人的に売ってる感じの果物 (の看板)。

約30分かけて、ようやく頂上のトンネルの所までたどりつきました。
ここを越えたら女川、だといいんですけど、そういうわけでもないのが辛い所。


苦行じゃあ・・・
がんばれ、さえちゃん。

トンネルを越え、坂を下った所で女川方面へ右折。

16時15分。次の峠の途中で、ようやく女川町に入りました。

その登り坂を上り切った所から振り返って撮った写真がこちら。
延々と、直線の上り坂を上ってきて・・・なんかおかしくなりそう。

ただ、このあたりで小径自転車に乗った旅人が反対方向から走ってくるのを見つけて、
通りすがりにお互い、目で挨拶しました!

今回の旅で、ロードバイクに乗った人は2、3人見かけたけど、
小径の折りたたみ自転車を見たのはこの1回きりだったね。

行き違いの時の一瞬の目配せだったけど、
お互いの苦労をたたえ合う感じがして、旅人同士のあいさつっていいなあと思いました!

とはいえ、私はそろそろ限界が近い・・・。
景色を写真に収めるふりをして、頻繁に休憩を入れちゃう。

で、そういう時に限って、わりと良い写真が撮れるから困る。

きつい・・・

志津川から約60キロ地点。炎天下の中走り続けたさえちゃんは、
この場所でついにギブアップしたのだった。
路肩に座り込み、濡らした気仙沼復興タオルを首に巻き、放心状態で休むことおよそ20分。
通りがかったプリウスのお兄さんに、心配されて話しかけられる事態にまで発展するのである・・・。



おーい。だいじょうぶか・・・・!?

はっ!! はい、なんか御用ですか (?)

いや、一回通り過ぎたんだけどね、
心配だったから引き返してきたんですよ。
熱中症だったら大変だと思って。

ああ、わざわざすみません。
少し休んだらだいぶよくなったので、大丈夫そうです。

(中略) 車に乗せていってあげたいところだけど、
大丈夫そうなら、俺は行くよ、くれぐれも無理しないようにね。

重ね重ね、すみません。
無理せず行こうと思います。ありがとうございました。

女川に辿り着く

心配されるくらい、弱っているように見えたなんてショックだ・・・。
幸い、しばらく休んだら予想以上に回復出来たし、
日も陰ってきてだいぶ走りやすくなったので、ぼちぼち先へと進もうと思います。

無理しないようにねえ。

程なくして、漁港がみえました。
そして、タイミングよく流れてきた17時半の時報。曲は
「♪ぼくも帰ろうおうちへ帰ろう でんでんでんぐり返ってバイバイバイ」
女川町の防災無線でした。

女川に、無事たどり着いたんだね。よかった・・・!

17時30分、女川の市街地へ入りました。
とはいうものの、建物は殆ど残っておらず、人もいないため、
ひぐらしの鳴く声と、ときおり通る車の音だけが聞こえる静かな場所でした。

数百メートル続くイルカの大群。
イルカが攻めてきたぞっ

女川町は、今回私たちが見てきた被災地の中で
現状が特に深刻であるように感じました。
とにかく、町がまるごと跡形もなく無くなってしまい、そのままになっているという印象。

夕焼けの中見たその姿は、震災から二年以上経ったとは思えない、生々しいものでした。

倒れ、流されたビル

市街地は、地震で液状化現象が発生し、
直後に到達した津波(最大18メートル)によって、鉄筋コンクリート造の建物を含む多くの建物が流されました。
鉄筋コンクリート造の建物が基礎ごと津波で流される被害は世界でもほかに例がなく、
女川町では震災遺構として保存することを検討しているそうです。

上の写真でいくつか見えている横倒しの建物がそれだね。

こちらの横倒しになったビルは、向かって右側がもともと建物の基礎部分だったようです。
液状化現象で地盤が緩むと、しっかり基礎が作られる鉄筋コンクリートの建物でさえ、
簡単に倒れてしまうんですね。

被災前の写真が、同じ場所を写したものとは思えないぞ。

建物の中を覗いてみると、看板に書いてある通り、
乗用車が横倒しになったまま残されていました。
その車が、ついさっきまで走っていたかのような綺麗な状態だったので、ドキッとした・・・。

こちらにも、倒れたビルが残されていました。
女川町での津波は、奥の丘の上に建つ地域医療センターの1階部分にまで達したというのですから
本当に恐ろしいものです。

不謹慎かもしれないけど、横倒しになったビルを見る機会なんてなかったから、
階段の形とか、向きが違うだけですごく新鮮だ。ものの見かたを変えるのって大事だなあ。

こうして見ると、壊滅的な被害が放置されたままのような印象だけが募りますが、
女川町は今、まさに復興事業が進んでいるところなのです。

被災し、姿形もなくなってしまったJR女川駅は、位置を内陸へ移した上で
建築家 坂茂(ばん しげる)氏の設計で温泉施設とあわせて再建される計画なのだそう。
さらに、その駅舎を中心にプロムナード、商店街、住宅街と計画的に再建が行われる予定とのことです。

町をもう一度作り直すのは、並大抵の努力では出来ないことだとは思いますが、
世界的に著名な建築家さんが参画しているということもありますし、町民一体となって
多くの人が訪れたい、住みたいと思うような、素敵な港町を作り上げてほしいと思います。

映画の舞台になるような町を期待したいね!

5年後、10年後にもう一度、
今度は生まれ変わった港町を満喫するために再訪したいものです。
がんばれ、女川町!!

久しぶりの「鉄道」JR石巻線に乗る

さて、なんとか暗くなる前に女川町の姿も見ることが出来、
本日の目的はだいたい達成。女川駅は先述の通り被災しているのですが、ひとつ隣の浦宿駅までは
JR石巻線が復旧しています。本日は、その浦宿駅から輪行して石巻の宿へ向かいます♪

いや〜、一時はどうなることかと思ったよ。
順当に線路を辿っていけば駅は見つかるはずだね。

v

そんなこんなで、JR浦宿駅に到着したのは18時13分。
久々に、普通の鉄道の駅を見たような気がします。
このあたりは、津波の被害こそあったものの路盤ごと流されるようなことはなかったようで、
周辺の建物も多く残っていました。

次の電車が来るまでは約1時間、
近くの商店でアイスを購入し、駅前のベンチで頂きます。
んー、ゆったり、まったり、のーんびり。

今日一日を振り返りながら、
知らない土地の駅でただのんびりと鉄道を待つ時間っていうのも、なかなか乙なものだ。

One more thing..
これは、駅の待合室にあった、iPadみたいな時刻表。

出発時刻の30分くらい前なのに、早くも鉄道がやってきました。
夕暮れの海をバックにライトを照らした鉄道がプラットホームに入ってくる感じ、風情があるなあ。

なかなかローカル感のある車両です。
エコで合理的なBRTもいいですケド、旅情をそそるのは、
やっぱりこういう重厚感ある昔ながらの鉄道ですね。

でも、BRTと比べると、こういう地方鉄道のオーバースペックな感じは否めないなって思う。
お客さん、おいらたち含めて4人くらいしかいないよ。

まあ、それが現実だよねえ。
地方の公共交通のありかたって、なかなか難しい問題だ。

三陸鉄道とはまた違った、昭和の雰囲気あふれる車内。
うなるような音をあげて走るディーゼル気動車、うんうん。好きだなあ。

本日もたくさん出た、「鉄子」的コメント。
元気を取り戻したようで安心したよおいらは。

アパートメント・ホテル !? に泊まってみた

石巻駅に到着したのは19時38分。
ここから宿までは自転車で5分とかからないはずです。
本日の宿のチェックイン予定時刻は20時なので、最終日にして初、
ついにチェックイン時間を守りきりました!!

さえちゃんにしてはすごいけど、決して誇れない・・・。

ちなみに、この石巻駅前で自転車を組み立てているとき、
制服を着た男子高校生に話しかけられました。
聞くと、小径折りたたみ自転車が好きで、輪行している私の姿を見て思わず話しかけたくなったんだとか。
まじめそうなかわいい感じの学生だったので、
なんかうれしかった。

そらー、よかったですねぃ。

さて、駅から4分、住宅街の中を走って辿り着いたのが本日のお宿、
「石巻アパートメントホテル」です。
場所としては少し分かりづらい所にありますが、
さきほど車窓からも見えたので、迷わずに着くことが出来ました。

アパートメントホテル??

変わった名前だよね!
私もそれが気になって、ここに決めたんだ。

今朝、歌津のニュー泊崎荘で被災地のホテル事情の話をしたけど、
このホテルも、まさにその復興特需に対応した被災地ならではのホテル。
つまり、復興特需が落ち着いたら普通のアパートに転用できるように
設計されているホテルなのです。

なるほど〜〜。
だから、住宅街の中にあるんだ。

ちなみに、ロビーや食堂は別棟になっていて、
そこは将来的に地域の集会所として転用できるよう設計されているらしいです。
ロビーで鍵を受け取ったら、さっそく自分の部屋へ。

なんだか、友達の家にお邪魔するみたいな感じで緊張!!

おじゃまします〜。
ちなみに間取りは3Kですが、1人で利用する場合、うち2部屋は施錠されています。
単独よりはむしろ、多人数でワイワイ楽しむような用途に向いている構造ですね。

さすが、オープンしてから数ヶ月しか経っていないので、ほぼ新築!
綺麗で広くて駅からも近い!! 私のような、「贅沢さは必要ないけどとりあえず清潔であって欲しい」
ような人にとっては本当に非の打ち所のない素晴らしいホテル♪♪

今回の旅は3カ所のホテルに泊まったけど、どれも当たりだったね。
再訪するときには、ぜひ同じ所に泊まりたい!!

ただし、こちら温泉ではありませんので、シャワーを軽くあびて今日の汗を流します。
結構汗だくだったので、超さっぱり!!

ところで、廊下には冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、ひいては掃除機まで完備。
長期滞在用でしょうか。掃除機は普通のホテルにはまず無いので面白いですね。

あとは、夕ご飯を食べて、寝るだけ!!
今日も大変な一日だったけど、なんとか乗り切れた〜。

石巻アパートメントホテル

自転車で・・・
JR石巻駅から約5分
※時間は目安で、所要時間には個人差があります。

輪行おすすめ度 ★★★☆☆
自転車乗りにも最適な宿なんじゃないかと思います。一人利用だと若干割高ですが、それでも他のビジネスホテルと同等くらいの金額。

住所・営業日・駐輪場情報など
宮城県石巻市駅前北通り1-15-25


夕飯を食べるため、駅前のほうをぶらぶら。(ホテルは、朝食のみで予約)
ただ、21時もまわっていたので、さすがに居酒屋ぐらいしかやっておらず、
結局のところ駅のコンビニでお弁当を買い、ホテルに帰って食べることに。

それにしても、街中で目に入るいろんなキャラクター。
石巻は、当地にゆかりのある漫画家、石ノ森章太郎さんのキャラクターで町おこしをしているらしい。

原作を知らないので、いまいち楽しめないこの感じ。
次訪れるときまでには、予習しておこう。
ともかく、今は早く宿に帰って、ご飯食べて、寝たい(笑)。

この時間になってどっと疲れが出てきたねえ。
でも、たくさん動いたあとの疲れって、なんだか心地いいかも。
お風呂上がり、夜風にあたりながらの街中散歩。良い夏の夜だったね。

ちなみに3日目までの総走行距離は、199.2kmでした。(写真は翌日撮影)

結果、3日目は74.2km。暑い中よくがんばった。
天候や高低差もありますが、現状の私にはこのくらいの距離が限界な感じです・・・。

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