三陸鉄道とBRTと自転車でゆく!!
さんりく縦断輪行の旅  その7

夏らしい快晴に恵まれた三日目

おはようございます。
むりくり取得した年休とお盆休みを組み合わせて決行した(笑)さんりく横断輪行の旅も
いよいよ三日目を迎えました。

待望の快晴だ!
照りつける太陽!! 青い海!! 夏だね〜〜!!

快晴なのは嬉しいんだけど、朝からこの暑さ!
今日は自転車でめ一杯走る予定なのでちょっと心配です。


とはいえ、あまりの景色の良さにみるみる高まるモチベーション。
昨日ローソンで買っておいた朝ご飯を食べつつ、身支度をして宿を出ます。

昨晩はあまりよく分からなかった宿の構造ですが、
私の泊まった別館は、なんだか仮設のアパートみたいな感じでした。(本館は普通のホテル)
部屋はとても綺麗だし、壁も厚いしで、過ごす分には問題ありませんでしたけど。


洗濯機もあります。というわけで、
どうやらこの宿は、地域の復興事業に携わる方のための連泊滞在用の施設として使われているようです。

ここに限らず、被災地の宿は全国から働きにきている方々の仮住まいとしての需要が高くなっていて、
どこも軒並み満室。この宿は、プレハブで仮設の別館を作ることで、その特需に対応しているみたいです。
(なので、私も直前で予約が取れました)
復興のために、地域の宿にもがんばってほしいですね。

震災からまもなく三年。状況は刻々と変わりつつあるんだなあ。

ちなみに、
昨日からずっと自転車にぶら下げていたSeria傘ですが、
フロントの方に引き取ってもらいました。

厄介払い成功だね!

そういう言い方しないでよ。
私の傘は「お客さんが自由に使える傘置き場」で余生をおくるみたいなので、
みなさん、ニュー泊崎荘に泊まって雨が降った暁には、是非私のSeria傘をお使い下さいませ。


そんなわけで、8時35分、ニュー泊崎荘を出発です。
お伝えし忘れていましたが、昨日までの積算走行距離はご覧の通り25.8、つまり、125.8kmです。
うち、1日目が59.6km、2日目は66.2km。私としてはなかなかである。

雨が降ったり色々あった割には意外と走ったねえ。

どうりで、じわじわと足回りに筋肉痛が・・・・

マジ快晴気持ちいい1000%

日差しは暑ーっついけれど、自転車を漕ぎ出したら風が出て気持ち良くなりました。
それにしても、なんて良い景色!! 海水浴したくなる!!

昨日、こんなところを走ってたんだね〜!
暗くて全然分からなかったよ!


う、海がみえたぞ〜!!
(さっきから見えてたけど)


海〜〜!!


あわわわ!!

昨日、こんなところを走ってたんだ〜・・・
何事もなくてよかった・・・


しばらく進むと、
「この先、歌津大橋 落橋のため通行できません」の看板が。
昨晩、知らず知らずのうちに旧道を迂回していたようです。
落橋という事実も驚きですが、こういうことを何も知らずにひょうひょうと走っていた自分がこわい

やっぱり夜は自転車で走るべきではない。


旧道を走りながら海沿いに目をやると、
大きな橋 (歌津大橋) が本当に落橋していました・・・。
このあたりの被害は相当にひどいようで
歌津大橋のあったバイパス道路が何をバイパスしていたのかさえ、もはや分かりません。

でも、仮設商店街が出来てるよ!
旗が一杯あがっていて、なんだか賑やか!

あとでBRTの待ち時間があったら寄ってみよう。

歌津駅でのあたたかい出会い

昨日下車した、大船渡線BRTの歌津駅まで戻ってきました。
宿からの所要時間は、のんびり走って40分くらい。
こういうちょっとした中距離を気軽に移動出来るのが、自転車旅でよかったと感じるところですね。

さて、歌津駅についてですけど、
もともとは一段上がったところにあったようです。(昨日は気づかず・・・)
現在の駅は下のロータリーに移設されてます。
ある意味バスだから出来るバリアフリーですね。


昨日の夜、駅前に何もないと思ったけど、本当に何もなかったなんて・・・。

わあ、待合室に入ってみたら、なんだか先進的な機器がありました。

運行案内ディスプレイってやつだね。都内の電車みたいだー。

私たちは、この柳津(やないづ)行きに乗りますよ。
案内表示によると現在、歌津から5駅手前の本吉駅付近を走っているみたいです。
定刻通りに運行しているみたいなので、到着まではまだ30分近くあるからのんびりできそう。

なかなか便利なシステムだね。
ま、そもそも普通の鉄道なら時間通り来るのが当たり前なんだけど。

時間もあるし、せっかくなので古いほうの駅を見に来てみた。

線路が外されてる。果たして、ここに再び鉄道が通る日は来るんだろうか・・・。

一方こちらは、古いほうの駅から振り返ったところにあるトンネル。
放置されている駅に対して、こちらのトンネルはBRT用に改修され、現役で使われています。
鉄道のトンネルは、車道でいうところの一車線ぶん弱の幅しか無く非常に狭いため、
片側交互通行のような形で運行されているようです。

ふーん。よく考えられているなあ。

さて、まだまだ待ち時間はありますが、
駅に自転車をほったらかしにしたままだったので、一応施錠しに戻ります。

おいおい、って・・・ん? 自転車のところに誰かいるよ。

おばあさんとお孫さんだ。
こんにちは〜。







こんにちわぁ〜・・

(か、かわいい・・・・!!!)

あついわねー。あなた自転車で旅行されてるの?

はい、二日前からお盆休みで東北の自転車旅に。

すごいわね〜、どちらから走ってきたの。

釜石から、といっても、途中鉄道に乗ったり、BRTに乗ったりしていますけど。
かくかくしかじか、それで、昨日は泊崎荘に泊まったんです。
今日はこのあと、石巻まで行きます。

あらまあ。歌津の花火大会は今晩なのよ!

え! 今日花火大会なんですか!!
あと一日ずらしていれば見れたんだ! うわ〜、下調べ不足・・・!

だからあんなにのぼり旗が上がってたんだねぇ。

年に一度だし、もう一日泊まって見ていきなさいよ。

もう一泊!!
・・・でも確かにお盆休みは長いし、どうせ気ままな一人旅だし、
一泊くらい多く泊まっていくのもありかもしれない・・・。

いやいやいや、今日の宿も明日の新幹線も、全部予約とってあるから!

それもそうだった。うう、残念だん。

おばあさんとボクも私たちと同じBRTに乗るそうなので、
ボクに自転車を見張っててもらうことにし、
私たちは先ほど見かけた歌津の「伊里前(いさとまえ)復幸商店街」へ。

小さいながら活気のある商店街だね。

ちなみに、次の日の朝のニュースで、まさに歌津のお祭りが放送されていました。
どうやら、南三陸町から津波で流され、沖縄の西表島に漂着した(!)「希望の郵便ポスト」
帰郷イベントがあったようです。見てみたかったなあ〜〜!!

そんなことをしているうちに、BRTの時間4分前だよ!! 急いで駅に戻ろう。

伊里前復幸商店街

自転車で・・・
JR気仙沼線BRT・歌津駅から約3分
※時間は目安で、所要時間には個人差があります。

輪行おすすめ度 ★★★☆☆
歌津の大漁旗がデザインされた威勢の良いオリジナルピンバッヂを買いました。

住所・営業日・駐輪場情報など
宮城県本吉郡南三陸町歌津伊里前93


駅で待っていたお二人を少し心配させてしまいましたが、
なんとかBRTの時間に間に合いました。

まったく、いっつもギリギリになるんだから。

反省してます・・・。
それにしても、私たちを心配しながら待っててくれたボクの仕草が可愛過ぎたので
なんか、よかったです! (?) 心配させてごめんね!!

南三陸さんさん商店街でしばし観光

BRTに揺られること30分余り。
10時30分、南三陸町の中心地、志津川(しづがわ)に到着しました。
この特徴的な駅舎はBRTの開業にあわせて新しく作られたもので、
津波で流されてしまった旧駅舎の代わりに、「南三陸さんさん商店街」のすぐそばに移設再建されました。

商店街に駅を移動したんだ。
路線を簡単に移動出来るBRTならではだね。

この「南三陸さんさん商店街」は、けっこう有名ですよね!
南三陸で被災した商店などを中心に約30店舗!が軒を連ねていて、地元の人の買い物の場としてのみならず、
観光地として学生からお年寄りまで多くの人が訪れていました。

実は、歌津から一緒に乗ってきたおばあさんとボクもこの商店街に買い物に来たんだそうですヨ。
二人とは商店街の入り口でお別れ。
最後はボクとハイタッチ。すてきな出会いでした〜〜〜♪

またどこかで出会えるといいな。
旅先での一期一会の出会いって嫌いじゃないぜ。

駐車場のポールに腰掛けて、商店街で買ってきたかき氷を頂く。
これを食べたら、私たちも出発しますか。

写真だと伝わりづらいけど、この日は本当に暑くて、走る前から額に汗が。
かき氷でも食べないとやってられないくらいだったんデス。

観光客で賑わう「さんさん商店街」ですが、敷地の傍らには献花も。
津波の被害のあった街では至る所でこのような光景が見られ、心が痛みます。
早く、街全体がこの商店街のように活気を取り戻しますように。

南三陸さんさん商店街

自転車で・・・
JR気仙沼線BRT・志津川駅から約0分
※時間は目安で、所要時間には個人差があります。

輪行おすすめ度 ★★★☆☆
観光、買い物、食事なんでも一通り出来ます。南三陸に来たら必ず立ち寄りたい!

住所・営業日・駐輪場情報など
駐輪場はないですが広大な駐車場あり
宮城県本吉郡南三陸町志津川御前下59-1


悲劇の語りべ 南三陸町防災庁舎

自転車で走り出しましたが、暑くてかなわん!!
日焼け対策は一応してあるので良いとして、怖いのが熱中症です。
とりあえず、途中にあった仮設のファミリーマートで飲み物を買いだめ。
店内、屋根の低さが新鮮でした。

それよりも、おでん売っててびびった。

さて、それでは本日の次の目的地へ向かいます。
実は先ほどBRTの車窓からも見えたので、地図いらずで向かえました。

それにしても、南三陸町も街は壊滅状態だ・・・。
今回の旅、南方へ下るほど被害が深刻になっている気がする。

陸前高田の一本松と同じで、遠くからでもすぐにそれとわかった。

南三陸町 防災対策庁舎に到着しました。

ニュースでもたびたび目にしてきた建物ではありますが・・・、
実際に目の当たりにすると、鉄筋の構造体だけになったその姿は意外にもさっぱりとしていて、
建設途中の新しい建物のようにも見えます。
しかし、その窓や外壁、そして中に避難していた多くの方の命は、
一瞬の津波によって奪われたものなのです。
地上から12メートルもある屋上部分にまでも津波は達したのですから、その規模、威力は計り知れません。

当時、国や行政の責任者が被害の大きさを弁明する際に 「想定外」ということばを多く用いて
批判の的になりましたが、こうして実際にこの場所に立ち、その被害を見ると、
役人を弁護するつもりは全くないのですが、確かに想定外だったんだと思えてきます。

人の作るあらゆるものが、いかに脆いものか、
作り手のはしくれである、さえこの中の人にとって、色々考えさせられる震災遺構でした。

防災無線で避難を呼びかけながら命を落とした町の職員の方も、
まさにこの建物でお勤めだったんだよね。どうかお安らかに。

修学旅行でしょうか。高校生の一行が見学に訪れていて
私たちも傍らで先生の説明を一緒に聞くことが出来てラッキーでした。
学生のときにこういうものを見ることが出来るのはすごい貴重な経験だと思う。

ちなみに、この学生たちとはその後、
思わぬところで再会を果たすことになるのである・・・。

ロングライダース

時刻は11時20分。防災庁舎をあとにし、先へ向かいます。
ここで、遅くなってしまいましたが本日の行程をご紹介します。


本日はここ南三陸の志津川から、女川を経由して石巻まで向かいます。
今回の旅はこれまで、基本的に鉄道と並走しながら南下してきました。
しかし、今から進む女川までの区間は、鉄道がもともと走っていない区間になります。

ああ本当だ、地図を見ると気仙沼線は内陸を迂回しているんだね。

公共交通で三陸を旅する人の多くは、
南三陸から石巻までは内陸を通って行くと思われるのですが、
今回私たちには、自転車という移動手段があります。
ここからの海沿いには、私が見ておきたいと思っている震災遺構もいくつかありますし、
せっかく自転車があるのだから、こういうときに活用しなくちゃ。

というわけで、ここから女川までは、全行程自転車で走ることにしました。

女川町の浦宿駅まで、ここからおよそ80km。
私はこれまで、一日でこんな距離を走ったことはないのですが、
輪行するようになってから、
自転車にはたくさん乗って体力もついてきたし、
昨日までの二日間も、なんとかがんばって来れました。
行けないことも、ないと思っています。

言わば、ここからの80kmがこの旅のクライマックスなんだ。


そう!
熱中症だけが心配だけど、幸い雨風の心配がない絶好の自転車日和。
日焼け止め、飲み物、タオルも万全の体制です。がんばっていくよ!!

今回の旅のさえちゃんはなんだか頼もしい。
まるで映画ののび太君のようだ!!


まあ、今日はまだ全然走っていないので
ペダルを回す足取りも軽々〜♪

ところで途中で見つけたこの建物、気になって思わず立ち止まってしまいました。
場所的には丘の上なので、被災した建物ではないと思うのですけど。何だろう?
ちなみにGooglemap上での位置はここです。(ストリートビューも見れます)

かなりぼろぼろだけど、中は螺旋階段で
上に上がれるようになってる。展望台じゃないかな?

私も最初そう思ったんだけど、
海側に窓がないんだよね。小さな明かり窓みたいなものはあるみたいなんだけど、
そこから海は殆ど見えないはずです。
もともとあった窓を塞いだような感じもないし、一体何なんだこの建物!!!

割とずっと気になっているので、どなたか詳細ご存知の方、
いらっしゃましたら私(の中の人)のツイッターまで教えてください〜〜 ><
@rinkosaeco

南三陸の謎建造物
海沿いに建っているのに
海を見せないサディスティックな展望台(?)


こちらは、ずたずたに壊れたまま放置された水門とポンプ室。こわすぎる・・・。


はい。ここで国道398号線を「女川」方面へ曲がります。
右に見える白いガードレールは気仙沼線BRTです。
というわけで、しばらく鉄道とはお別れ。

これから、後戻りの出来ない長い戦いがはじまるんだ・・・。


もともとそうだったのか、はたまた被災してそうなってしまったのか、
私にはよく分かりませんが、とにかく道沿いに何もない道を淡々と進みます。

暑い・・・。


日陰を見つけたので、ちょっと横道にそれて休憩。
じりじりとくる暑さですが、日陰はけっこう涼しいんです。これって東北ならではなのかな??

そっか。そういえばおいらたち、東北を走っているんだ。
東北って、イメージと違ってぜんぜん涼しくないんだなぁ・・・。


暑っつ・・・・・!!
先まで延々と続く炎天下の道。うげえ・・・。


日陰を見つけては休憩の繰り返し。
走り始めて約1時間ですが、買いだめしておいたペットボトル3本を早くも飲み終えてしまいました。

そして、ここで休んでいたときに衝撃的な出来事が。
遠くから車が来るなあと思って見てみると、先程防災庁舎で一緒だった学生たちのバスだったのデス。
乗っていた学生の一人が、さえちゃんのことに気づいたみたいだった。

すごい偶然もあるもんだなあと思いました。
学生君も、「さっき南三陸にいた自転車乗りがこんな所に!」って思ってたんだろうな。
こんなことがあるくらい、人の往来が少なかったです。

神割崎で息切れ

上がったり下がったりで自転車泣かせの区間です・・・。
神割崎という景勝地があるというのは地図で見て知っていたので、休憩がてら寄ってみることに。

カメラの微妙な傾き具合から、さえちゃんのバテバテ感を感じて頂きたい。



意外と立派なしつらえで期待が高まります。
そしてこの看板、めいっぱい文字が書いてある!! (笑)
炎天下で読む気力はさすがに無かったので、とりあえず後で読む用にカメラで撮影し、
階段を下りて神割崎へ向かいます。

看板によると、かつてこの近くに大きな鯨が漂着した際
近辺にあった二つの村が「漂着した場所は自分たちの村内」として
三日三晩、鯨の奪い合いをしたらしい。
その夜、近くに雷が落ちて、一夜にして大きな岩が二つに裂けた
村人たちはこれを神の業と信じ、鯨を仲良く分け合い、
その岩の割れ目を両村の境界としたんだそうな。


おお、確かに岩がまっぷたつ!!
伝説がどこまでホントなのかは分かりませんけど、あながち嘘じゃないかもと思えてきた。

「まんが日本むかし話」でありそうな話だね。
昨日の碁石海岸といい、独特な岩の形状は見る人の想像力をかきたてる。


それにしてもここ、涼しくてすごく快適だ〜。
景色もいいし。もう夕方までずっとここにいたい・・・。

はい、ここで後ろからチャラいカップルがギャーギャー言いながら降りてきたから退却〜〜。

神割崎

自転車で・・・
JR気仙沼線BRT・陸前戸倉駅から約50分
※時間は目安で、所要時間には個人差があります。

輪行おすすめ度 ★★☆☆☆
この道には本当に何も観光スポットが無いので、一休みする地点としては良いでしょう。

住所・営業日・駐輪場情報など
宮城県本吉郡南三陸町戸倉寺浜

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