三陸鉄道とBRTと自転車でゆく!!
さんりく縦断輪行の旅  その4

波乱の一日が明けて

輪行女子の朝は早い。
おはようございます!!

おはよー。すごくよく寝れた〜。
部屋から日の出も拝めたし、今日は良い一日になりそうだ。

うん。天気予報的にはずっと晴れの筈だから、
あとは日差しが強くなりすぎないのを祈るのみ♪
早めに朝食を頂いたら、さっそく今日のルート確認だよ!


おおおっ。地図やら時刻表やら、準備万端やないですか!

でしょ。本日も引き続き、三陸沿岸を南下していくんですが、
今日と明日はJR大船渡線(BRT)と気仙沼線(BRT)の区間を
自転車と輪行を併用しながら南下する、計画性が求められる区間なのだ。
特に、BRT(後述)で運行されている2路線は復旧中の被災地の中を走るため、
毎月のようにルートや駅の位置、運行ダイヤが変更されているので、要注意。
私も、現時点での運行情報を探すのに大変苦労しました。


こちらが2013年8月現在の路線図。
これをJRのサイトから探し出すのが大変で、13年8月発表のプレスリリースに添付されている
pdfの末尾ページに載っていました(汗)。

駅の場所の変更とか、すごい重要な情報なのに。
これじゃあ、観光客は気軽に利用出来ないです!!

震災復旧が一段落するまでの辛抱だね。
まだまだ今(2013年)現在は公共交通を使ってこのあたりを観光するのはハードル高い感じ。
おいらたちは最悪、自転車で移動すれば何とかなるからその点は気が楽だけど。

フロントにいたご主人に昨日のお礼を言いつつ、予定より少し早めに宿を出発。
昨日の夜クルマで送ってもらった道を、今朝は自転車で戻ります。
肌寒いけど朝チャリは気持ちいい♪
7時04分、綾里駅に到着。

昨日は気付かなかったけど、こんな立派な駅だったんだ〜。
駅内にはちょっとした日用品や野菜が置いてある売店もあって、地元の人の御用達みたいな感じ。


7時25分発の電車を待ちます。
最初は私たちだけがぼんやり座っているだけでしたが、
しばらくすると地元の学生数組(部活?)と、電車を見に来たとおぼしき孫とおじいちゃんがやってきて、
結構賑やかになりました。駅はやっぱりこうでなくちゃ。

そんなわけで、再び三陸鉄道に乗り込み、終点の盛(さかり)駅へ向かいます。
綾里駅〜盛駅まではたったの二駅なんですが、
長いトンネルや山奥を経由していくので距離的にはかなり長いです。
昨日のあのスペクタクルが思い出されますね・・・。

おいらたちが得た教訓。
山手線の二駅と、三陸鉄道の二駅を同じように考えちゃあなんねえ。

大船渡市の盛駅からスタート♪



7時42分、大船渡市の盛(さかり)駅に到着。
大船渡駅っていう駅もあるんですが、盛駅のほうが大きな駅です。
相模原市でいうところの、相模原駅(しょぼい)と相模大野駅(でかい)みたいなカンケイですね。

それは地元の人じゃないと分からないぞ。

昨日・今日とお世話になった三陸鉄道ですが、今回の旅ではここでお別れ。
こちらの36(さんりく、と読む!)-700系は、クウェート国からの資金援助で作られた新しい車両です。
というのも、三陸鉄道南リアス線の車両は、津波による浸水でほとんどが駄目になってしまったらしいです。
この車両には、クウェートの方々への感謝の言葉が車体に書かれていました。

  THANK YOU KUWAIT!!

さて、二枚上の写真で気になった人もいらっしゃるかもしれませんが、
盛駅の2番線ホームには、このようにバスが通っています。

これが例のBRTだね!?

その通り! もともと線路があったところをアスファルトで埋め立てて、
BRTの駅にしているんだね。

プラットホームにバスが来るなんてすごい違和感だぁ。

左が三陸鉄道の盛駅、右がJR大船渡線の盛駅
ここから大船渡線BRTに乗りかえて移動しても良いんですけど、大船渡市街や碁石海岸へも行ってみたいので
ここから暫くは自転車移動です。それじゃあ、二日目・・・

レッツラゴー♪♪

BRTとは

しゅっぱーつ。と、言いたい所なんですが、
駅を出てすぐの所に、ちょっと道路の色が変わっている不思議な交差点がありました。


お? 黄色い道路の奥からはさっき見たBRTのバスがやって来る。
なるほど、ここはBRTの踏切なんだね。

ほうー。面白いからちょっと見て行こう。

普通の踏切と違って、BRT側に遮断機があるんだ。

これがないと、間違えて入っちゃうクルマがいそうだもんね。


BRTが来るのにあわせて車道側の信号が赤になり
遮断機が開いて、BRTのバスが通過していきました。
しかもBRT、結構速度が速い。へぇ〜。

踏切でクルマが止まって電車が通過する、というのは当たり前の光景だけど
バスが優先的に走ってるのってすごく新鮮な感じだ。


路面には、かつて線路だった名残が見える・・・。
というか、どうして線路を埋め立ててまでBRTにしたのか
おいらには疑問なんだけど。

ここで、BRTについて、少し調べたのでご説明しましょう。



BRT
とは、Bus Rapid Transitの略で、バス高速輸送システムのこと。
JR大船渡線とJR気仙沼線の被災区間で2012年末から順次導入されていて、
元々線路があった場所にアスファルトを敷いて、そこをバス専用道として走行しています。

被災地でBRTが導入された理由は、大きく以下の3点。

(1) 復旧費・維持費が鉄道に比べて大幅に安い
線路を復旧させるためには膨大な費用と時間がかかる。
大船渡線や気仙沼線は震災以前からの赤字路線であり、仮に鉄道を復旧させたとしても採算が採れない。
対して、バスを走らせるならアスファルトを敷くだけでよく、しかも維持管理費が大幅に安い。

(2) 復旧が困難な箇所(路盤が崩壊した箇所、倒壊した橋など)は一般道を迂回することが出来る
鉄道だと、全ての線路を直したあとでないと走らせる事が出来ない。

(3)路線の変更・駅の移動や追加が容易
今後街が復興していく中で、仮に市街地が高台へ移転するようなことになっても、
BRTなら路線の変更に柔軟に対応することが出来る。

これらの理由から、復興へ道半ばの被災地を走る公共交通として、
BRTが選ばれたってわけなのです。

んー。でもそれじゃあ、普通の路線バスでいいんじゃないの。
わざわざ元々線路だった所を走らせなくても。

そのあたりが難しいところなんだけど・・・。
一般道って、くねくね曲がっていたり、信号があったり、渋滞したりするでしょ。
それに対して、専用の道路を通るBRTなら、信号も渋滞もなければ、道もまっすぐ。
鉄道と同じように、時間通りに(路線バスよりは)迅速に走れるというわけ。

なるほどね。
暫定的な移動手段として、理にかなっている乗り物だと言う事は分かったけど、
なんだか、ヘンな感じ。

今日の夕方、気仙沼線BRTに乗る予定だから、
BRTがどんなものだか、体験してみよう。


さて、これは踏切近くで見つけた標識です。
たぶんですけど、ここが津波による浸水区間の始点だと思います。いよいよ・・・。

被害の甚だしい大船渡市街を自転車で走る

8時10分。踏切を後にした私たちは、大船渡市街を進みます。
市街といっても、ご覧のように今は何も残っておらず、絶句・・・。
先ほど話に出てきた大船渡駅も、実は跡形もなくなってしまいました。

昨日の釜石も衝撃的だったけど、
大船渡は中心街全体がごっそりとなくなってしまったような感じだね・・・。

言わずもがな、釜石でも大船渡でも、多くの方が命を落とされたわけですが、
この現状を見ると、亡くなった方の数は幸いにして少ないほうだったんじゃないかとさえ、思えてしまうくらいです。

そうだよね。こんな内陸のほうまで津波が押し寄せてきて、
ここから高台に逃げろっていうほうが無理だよねぇ・・・。


震災から二年以上経っているとは思えない現状。
歩道の部分は多くがこのような状態で自転車ではほぼ走れないため、
クルマに注意しながら、車道の端を慎重に進みます。

崩れた路盤の周りに土嚢を置いて、盛り土をして仮復旧させてるんだね。
自転車では走りづらい道だけど、今はしょうがない。

津波の威力のすさまじさを感じる事の出来る建物がそのまま残っていました。
海側の壁だけ、ぼろぼろに壊れています・・・・。


大船渡漁港のそばまでやってきました。
相変わらず被害はすさまじいもので、ほとんどの土地が更地のままですが、
これは地盤沈下のためにこの辺り一帯を嵩上げする計画があるためなんだそうです。
道路によって細かく仕切られた区画だけが、かつて街であったことを感じさせます。


ここは公園っぽい。

ほんとだ。
地図によるとサン・アンドレス公園という公園らしいです。
奥に見えるのはなんだろう。入っちゃ駄目とは書かれていないし、ちょっと行ってみようか。


奥にあったのは、シンボルタワーと呼ばれる展望台(奇跡的に津波から残ったものだそう)
「鎮魂愛の鐘」という震災被害者の追悼祈念碑でした。

展望台、ちょっと上に登ってみたかったけど、
見た目よりも被害が激しくて、危ないからやめておこうと思った。


もともとは地球を模した円盤状だったと思われるこちらのモニュメントも、
大きくひしゃげてしまっています。公園内には、こういったものが至る所にそのまま残されていて
子どもを遊ばせるには危険です・・・。

興味本位でむやみに立ち入るのはやめたほうがよかったね。
追悼祈念碑にて亡くなった方のご冥福をお祈りしたら、先へ進もう。


一日も早く、この公園に子ども達の笑顔が戻ってきますように。

碁石海岸を目指して南下

8時45分。さて、すこし気分が落ち込んでしまいましたけど・・・・
気持ちを新たに、次の目的地。碁石海岸へと向かいます♪
何とも、碁石のように黒くて丸い石がたくさんある浜辺があるらしいんですよ。

おー、面白そう!!
そういえば昨日、釜石に看板があったよね。期待高まるっ。


道中で再びBRTの踏切を通過。
こっちの踏切はまだ工事中で、現状ではまだ機能していませんでした。

踏切の標識が、まさかの蒸気機関車だよ。
蒸気機関車、ディーゼル気動車、そしてBRTと、変わり続ける大船渡線の生き証人だねぇ。


碁石海岸入口の交差点を見つけたところで、ちょっと休憩。
さらっと走ってきましたけど、海岸沿いからここまで結構な坂でした。

昨日の峠越えで感覚が麻痺したんじゃないの。

成長したって言って欲しかったな。




休憩場所から海を眺めてみると、何かがいっぱい浮かんでました。
養殖かな?

あ、あれワカメだよ、たぶん!!
さっき「三陸ワカメ」って看板が何箇所かで出てたし。

おー、ポタナイス。
海藻系好きだし、本場のワカメ食べてみたいな〜!


道は相変わらず狭いままですが、大船渡市街に比べると格段に走りやすくなりました。
思えば、こんなに海に近い場所を走るのは今回の旅ではじめて。きもちいー♪

三陸の旅って感じでいいね〜!! こういうのを期待してたよ!! (こういうのじゃなくて)


あー、これ見た事ある!!
イカ釣り漁の船だ♪ ライトが光ってイカを集めるんだよ。

ぶら下がってるのが全部電球なんだ! すげー・・・・・


・・・視線を感じると思ったら、カモメがずっとこっち見てた。ちっす


このあたりからしばらく、大船渡線BRTの路線と再び併走。
なんだか同じ方向へ向かう道路が2つあって不思議な光景です。
この日、つまり8月9日時点では、このあたりのバス専用道はまだ完成しておらず
(これによると大船渡〜小友間9月28日〜供用開始とのこと) BRTは一般道を走っているようです。

BRTが本領を発揮するのはまだまだこれからなんだね。


大船渡線と分かれて、碁石海岸のある末崎半島へ進みます。
このあたり、けっこうアップダウンがあってキツい・・・。
写真は、泊里(とまり)漁港付近。左に見える被災した建物の中で作業を続ける漁港の方々の姿が印象的でした。

碁石地区の不思議ゾーン

9時30分。いよいよ碁石地区に入りました。
碁石海岸までもう少し。

「これが目に 入らぬか」

なんか文字が丁寧にレタリングしてあるところに妙に説得力があって個人的にツボな看板です。
他にも、このあたりには面白いものがいくつかあって・・・、
奥にある碁石地区の掲示板なんですけど。

「碁石地区の皆さんへ ラベンダーの花 ほしい方
切り取っていいです」

いいんかい!! (笑)


その更に奥にあったこれも変。
最初、おしゃれな喫茶店か何かの看板かなぁ〜っと思ったんですが、よく見ると・・・・

井戸!!

碁石浜に到着!

9時43分、碁石浜に到着です。
看板が一切なかったため一度通り過ぎちゃったんですが、
地図を見るとどうやらここが、例の碁石のような石のある浜辺、碁石浜のようです。

看板の類いもたぶん流されちゃったんだね・・・。
それよりも早く、碁石を見に行ってみよう!!

ちょっと待って・・・少し休憩してから・・・。
なんだかすごく湿度が高くて、蒸し蒸しして汗だくなんだ。


そういえばなんだか曇ってきたね。霧もすごいし。

今日、ほんとは晴れのはずなんだけどねぇ。
まあ、昨日みたいに、霧はすごくなったとしても雨は降らないだろうから大丈夫とは思うけど。

本当は晴れてくれたほうが碁石もきれいに見えるんだろうけど・・・。
あ、そうだった、碁石、碁石!!


碁石・・・・!!

・・・・・・!?

確かに、碁石みたいな石はけっこうある。
ただおいら的には、真っ黒で丸い小石が一面に広がる浜辺を想像していたんだけど。

それは期待し過ぎ。でも、私も思ったより普通かも〜と思ってしまいました。(^^;)
より海に近いところのほうが、碁石っぽい石が多かったです。


んー、碁石に気をとられていたけど、この海岸の景色。すごくない?

言われてみれば。水墨画みたいな幽玄な景色だね。
この景色を見られただけでも、ここに来た甲斐があるってもんだ。

碁石浜

自転車で・・・
JR大船渡線・盛駅から約1時間半
※時間は目安で、所要時間には個人差があります。

輪行おすすめ度 ★★☆☆☆
津波で碁石は少なくなってしまったらしいですが、景色は素晴らしいものがあります。

住所・営業日・駐輪場情報など
岩手県大船渡市末崎町大浜



恐れていた事態

碁石浜まで来れば、岬の突端まではすぐ。
看板を見ると灯台や展望台もあるらしいので、せっかくだから行ってみよう。

またすごい霧が出てきた〜。


霞がかった松林の中で所々に咲く白ユリ・・・・幻想的・・・

おとぎ話の中に迷い込んだようだ。


遊歩道みたいなところに出ました。
あれ〜? 灯台と展望台どこ〜?

なんか自転車で入っちゃ行けない所に来ちゃった感が・・・

まぁ、誰もいないし、いいでしょ。
ここは公園なのかな?


あ、なんか私好みのレトロな水飲み場発見〜。
ということは、ここは昔ながらの観光地みたいだね。

こんなに古そうなのにちゃんと水が出るなんてすごい〜。さすがに飲む勇気はなかったけど・・・。


そうこうして歩いているうちに、乱曝谷(らんぼうや)という所に到着。
なんだか荒々しい名前ですけど、なんだろう?

へえ〜、気になるね。・・・・んっ?


パラ、パラパラパラ・・・・・

ザーーーーーッ



!?

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